医薬品の充填!充填機のバリデーションについて
医薬品の充填工程について
医薬品の充填工程とは、薬液を容器に規定量充填する工程です。充填工程のアウトプットと考えられる主要な品質は充填品の性状、充填量、含量の均一性等であり、これらに影響を及ぼす可能性のある変動要因は、原材料の粘度や液温、充填機の設備仕様、充填速度等の充填条件です。医薬品に適した充填機にはピストン式充填機、重量式充填機、グラビティ式充填機があり、薬液の特性や容器の形状等に応じて選定する必要があります。
また、薬液の充填前に水もしくはエアにより容器を適切に洗浄することが必要であり、特に水で洗浄した場合には、残水量などが最終製品に影響しないことを予め検証しておくことが重要です。充填工程で設定すべき製造条件は、充填量と管理幅の設定、充填精度の低下や液はね等を防止する適切な充填速度、充填後の液量検査機による管理等となります。
充填機のバリデーションの種類
バリデーションとは、医薬品・医療機器を製造する工程や方法が正しいかどうかを検証するための一連の業務です。科学的根拠や妥当性があるかを調査します。製造業者にとっては、確実に品質を確保しつつ、コストをできるだけおさえたバリデーションの実施が理想となります。
充填機を使用する液材には、使用方法として単回使用製剤と複数回使用製剤の2種類のタイプがあります。充填工程の評価が異なりますが、工程能力を評価するとの観点から、複数回使用製剤に対して単回使用製剤の評価を適用することも妥当な考え方です。充填工程の評価項目としては外観、充填量、製剤均一性試験、含量の均一性等があります。評価基準としては、外観は目視等で確認できる外観を設定します。充填量はすべての検体が自主規格内にありかつ平均値±3σが自主規格内であることとします。含量の均一性は推定含量値の平均値±3σが承認規格内または表示量±15%以内とします。
当社のバリデーションへの対応
当社はバリデーションへの対応として、設備出荷前・設置後の点検、ならびに納入後も定期的に点検を実施し、お客様の希望される評価を行っております。評価項目としては外観(充填時の液はね等)、充填量、充填能力、充填時間等となります。点検項目としては、充填機各部の構成部品関係及び設備制御機器関係となります。構成部品関係の点検個所はノズル部、バルブ部、ピストン部、ホッパ部、量調整部、ピストン駆動部、液導部等です。シール関係部品や駆動時に摺動する部品に、摩耗やがたつきが無いか等、状態の点検と整備を行います。制御機器関係の点検内容は、目視、触診、増し締め、測定、通電等です。制御機器の損傷や取付状態の確認、絶縁や電圧の測定、ボルトの増し締め等を実施し、必要個所は整備を行ったのち運転が正常であるか確認を行います。
医薬品 液体充填機・充填ライン導入事例
育毛剤充填ライン導入事例
育毛剤充填ラインの導入事例です。洗瓶機、充填機、キャッパーを当社にて製造し、導入させて頂きました。当事例のお客様は、生産性向上を実現する為に以下のような課題を持たれていました。
- 複数種類のキャップがあるが、金色のキャップは傷が目立ちやすく、傷をつけないようにキャッピングすることで品質を維持する
- 中栓が必要であり、一つのキャッパーで中栓、外栓を行えるようにし、投資コストを抑える
- 泡立ちしやすい製品であるが、泡立ちによる充填時のもれを防ぐ
洗瓶機、充填機、キャッパーで完結する自動化ラインであり、一式を内製化し、医薬品・医薬部外品の充填実績を多数持っている点を評価頂き、当社をご選定頂きました。
当事例の一番のポイントは、金キャップに傷をつけずにキャッピングすることにあります。金キャップ以外は、生産性を最大限に高めるため、パーツフィーダーを活用して自動搬送し、一個づつ切り出し、キャッパーにて蓋閉めを行っていました。金キャップについては、パーツフィーダーにて搬送すると傷がつく恐れがあったため、人手にてコンベアに整列させて、ロボットにてピックアップし容器に乗せ、キャッパーにて増し締めする仕様としました。
初期コストを抑えたいというご要望から、中栓工程をキャッパー内に搭載するカスタマイズを行うとともに、洗瓶機については反転機構を搭載せず、圧縮エアの引付、バキュームの仕様としました。育毛剤は医薬部外品の扱いであり異物混入による品質低下を避けるために洗瓶性能の向上が必要でしたが、イオナイザーを搭載することで静電気を除去し、洗瓶性能を高めました。泡立ちについては、充填時の液面追従や、充填能力を考慮した充填速度の最適化により泡立ちを回避することで、液漏れによる品質低下を防ぎました。
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液体充填機・充填ライン.comを運営する株式会社メイワでは、ピストン式充填機、ボリューム式充填機、グラビティ―式充填機、ウェイト式充填機はもちろん、洗瓶からバレタイザーまで充填ラインの一貫対応も可能です。また当社は、食品から工業製品まで精通しており、50年の納入実績があります。液体充填機の導入には、その生産体制に応じたカスタマイズ能力が求められますが、50年間お客様の課題を解決してきた当社だからこそ、最適な充填機、充填ラインの提案を行うことができます。液体充填機・充填ラインに関してお困りの方は、液体充填機・充填ライン.comまでお気軽にお問い合わせください!